HAKKI AFRICAの事業紹介
2022年7月8日
LIP-HAKKIケニアファンド
今回はLiving in Peace(以下、LIP)がHakki Africaを調査した際の情報をすでに調査レポートとして提示している内容も含めて紹介したいと思います。
1. オートローン事業を開始するに至った経緯
HAKKI AFRICAは2019年に設立されたスタートアップです。

社長の小林さんがケニアに来られた当初は、Eコマース事業などいくつもの事業を試されていました。しかし、例えば後払式にすると料金が支払われず商品を持ち逃げされるといった問題があり事業にならなかったそうです。
そんな中で着目したのが小口融資事業、いわゆるマイクロクレジット事業でした。M-PESAというオンラインペイメントがケニアでは2000年代後半から著しく普及していたことに着眼し、その取引履歴をみることでその人の借入やコミュニティ内での取引を客観的に評価することができたのが肝だったそうです。
他方で、東南アジア等で多く用いられているグループローンが機能せず、ケニアのマイクロファイナンス機関に共通する高い延滞率という難しさがありました。そこで、2020年11月、タクシー運転手をターゲットとして、タクシー自動車の購入資金を自動車を担保として融資するオートローンにシフトしました。
通常のタクシー運転手は自分の車を所有していません。自動車のオーナーに高いレンタル料を払って借りていることが多く、いつまでも車を所有できないだけでなく、なかなか稼ぎを増やすことができません。
その点にHAKKI AFRICAは注目しました。自動車を担保にとることで支払遅延の場合に車両を差し押さえる権利を確保し、GPSを車両に設置することで郊外への不自然な移動を追跡することで支払い遅延のリスクを抑えました。同時に競合よりも低い金利でローンを提供し、自動車を所有したいタクシー運転手の需要に応えています。
2. 現在の提供商品と貸付審査
事業の主要ターゲットはタクシー運転手ですが、様々なニーズに対応するため、以下のように商品を提供しています。

LIPが現地で行ったタクシードライバー向けインタビューの結果をみても、平均的に返済可能な利率や安価なデポジットにてローンが提供されていることがわかります。

顧客の信用度を適切に把握し、他の貸付機関より低いデポジットや適切な利率にて返済条件を設定するため、HAKKI AFRICAは独自のクレジットスコアリングシステムを活用しています。
前述のM-PESAでの取引記録を、本人の同意を得て取得活用し、キャッシュフローを把握することに加え、Uberの売上記録等を確認しています。これにより、他の競合よりも低いデポジット金額や適切な金利設定を行うクレジットスコアリングシステムを構築しています。
3. 顧客への訴求
オートローン事業を開始した2020年から順調に貸出残高と顧客数を伸ばしており(下チャート参照)、オートローン市場の可能性が分かるかと思います。

LIPは現地DDの際にタクシードライバーに対してインタビューを行いましたが、HAKKI AFRICAの名前はランダムに乗車したタクシーのドライバーでも一定数が把握しており、認知度が向上していることがうかがわれました。
また現に、HAKKI AFRICAは顧客から満点に近い極めて高い評価を受けています。
現在はケニアの首都であるナイロビにて事業を拡大していますが、今後は、地方都市であるモンバサやキスム等に展開する予定です。さらにその後は、ウガンダやタンザニアの隣国にも事業拡大を予定しています。
1. オートローン事業を開始するに至った経緯
HAKKI AFRICAは2019年に設立されたスタートアップです。

社長の小林さんがケニアに来られた当初は、Eコマース事業などいくつもの事業を試されていました。しかし、例えば後払式にすると料金が支払われず商品を持ち逃げされるといった問題があり事業にならなかったそうです。
そんな中で着目したのが小口融資事業、いわゆるマイクロクレジット事業でした。M-PESAというオンラインペイメントがケニアでは2000年代後半から著しく普及していたことに着眼し、その取引履歴をみることでその人の借入やコミュニティ内での取引を客観的に評価することができたのが肝だったそうです。
他方で、東南アジア等で多く用いられているグループローンが機能せず、ケニアのマイクロファイナンス機関に共通する高い延滞率という難しさがありました。そこで、2020年11月、タクシー運転手をターゲットとして、タクシー自動車の購入資金を自動車を担保として融資するオートローンにシフトしました。
通常のタクシー運転手は自分の車を所有していません。自動車のオーナーに高いレンタル料を払って借りていることが多く、いつまでも車を所有できないだけでなく、なかなか稼ぎを増やすことができません。
その点にHAKKI AFRICAは注目しました。自動車を担保にとることで支払遅延の場合に車両を差し押さえる権利を確保し、GPSを車両に設置することで郊外への不自然な移動を追跡することで支払い遅延のリスクを抑えました。同時に競合よりも低い金利でローンを提供し、自動車を所有したいタクシー運転手の需要に応えています。
2. 現在の提供商品と貸付審査
事業の主要ターゲットはタクシー運転手ですが、様々なニーズに対応するため、以下のように商品を提供しています。

LIPが現地で行ったタクシードライバー向けインタビューの結果をみても、平均的に返済可能な利率や安価なデポジットにてローンが提供されていることがわかります。

顧客の信用度を適切に把握し、他の貸付機関より低いデポジットや適切な利率にて返済条件を設定するため、HAKKI AFRICAは独自のクレジットスコアリングシステムを活用しています。
前述のM-PESAでの取引記録を、本人の同意を得て取得活用し、キャッシュフローを把握することに加え、Uberの売上記録等を確認しています。これにより、他の競合よりも低いデポジット金額や適切な金利設定を行うクレジットスコアリングシステムを構築しています。
3. 顧客への訴求
オートローン事業を開始した2020年から順調に貸出残高と顧客数を伸ばしており(下チャート参照)、オートローン市場の可能性が分かるかと思います。

LIPは現地DDの際にタクシードライバーに対してインタビューを行いましたが、HAKKI AFRICAの名前はランダムに乗車したタクシーのドライバーでも一定数が把握しており、認知度が向上していることがうかがわれました。
また現に、HAKKI AFRICAは顧客から満点に近い極めて高い評価を受けています。
現在はケニアの首都であるナイロビにて事業を拡大していますが、今後は、地方都市であるモンバサやキスム等に展開する予定です。さらにその後は、ウガンダやタンザニアの隣国にも事業拡大を予定しています。