ぶどう品種のこだわりについて
投資家の皆様
お世話になっております。Hikaru Farmの長谷光浩です。
フルーツライン(一番線)の高さが地上から約80~90センチ。3日で100センチ以上積もりました。
さて今回は、Hikaru Farm/ドメーヌ長谷の、植栽しているぶどう品種の一部について、こだわりをお伝えしたいと思います。約4ヘクタールの畑に特に多く植栽されているのが、ピノ・ノワールとシャルドネですが、ピノ族(上記に加え、ピノグリやピノブランなど)で全体の70%以上を占めます。
この品種を植えるために土地を探し、今現在の畑がある福井原にたどり着いたといっても過言ではありません。(もちろん、さらにこの土地で合っている他品種も探求中です)。ぶどうを植えるにあたり、土壌や過去の耕作履歴(地力)、畑の方角、日照時間や標高などをもとに品種を決めますが、ピノ・ノワールとシャルドネは、それぞれに最も適したメインの畑に植栽しています。
そして、この2品種で特にこだわっているのが、クローンです。ぶどう品種には性質や特徴の違うクローン種が存在し、特にこの2つのぶどう品種は多数のクローンが存在します。ブドウの房重や大きさ、実のつき方(バラ房、密着果など)、熟期の違い、そして香り、味わいに直結する要素が、クローンにより違ってきます。(例えば、マスカットの香りがするシャルドネのクローンなどもあります。)クローンを組み合わせることで、より複雑なワインとなる可能性があります。
私たちの畑には、シャルドネに8種類のクローン、ピノ・ノワールには7種類のクローンを導入しています。シャルドネは2種(227と548)、ピノ・ノワールは3種(MV6、115、777)が主体ですが、今後さらに、日本では非常に珍しいクローンを導入したり、ぶどうの出来や仕上がったワインなどを考察しながら畑でブレンドするイメージで、クローンの植栽を変えていくことも考えています。
なお、他品種でもこの土地での適品種があればクローンの導入は検討しており、リースリングとソーヴィニヨンブランに関してはすでに各3種類のクローンを植栽しています。
ちなみに、台木※に関しては、リパリア・グロワール・ド・モンペリエ種(早生、弱樹勢、耐水性あり)を中心に土壌や品種に合わせ5種類の台木を使用しています。
※ヨーロッパでフィロキセラ(ブドウ根アブラムシ)による被害でぶどう畑が壊滅して以来、抵抗性のある台木に、接ぎたいぶどう品種の枝をつなぎ合わせて苗にする方法が主流となっていますが、その台木も特長別にいろいろな種類があります。
ピノ・ノワールのMV6のクローン(2016年秋撮影)。オーストラリアのクローンではありますが、もとはブルゴーニュのクロ・ド・ヴージョ来歴。房がかなり小さく収量は少ないが、ポテンシャルの高いワインとなる可能性があります。
昨年10月、Hikaru Farmでは初の収穫となりました。昨年の収穫時期の天候は、記録的な長雨(9月中旬から下旬で200mm以上の降雨)と日照不足で、収量が大幅に減った農家やワイナリーも多く、厳しい年となりました。しかしながら、私たちのピノ・ノワールとシャルドネは収量こそ少ないですが、ほとんど玉割れや病気にはならず(ピノ族は皮が薄く長雨で裂果することが常)、最終的には糖度20度を超え、果実も熟し、かつしっかりと酸が残るぶどうが収穫できました。(ちなみに、日本だけではなく海外のワインぶどうの事情にも詳しい方が、このピノ・ノワールの果実を食べた時に、小粒で皮が厚いことに大変驚いていました。)今後、樹が成長しポテンシャルの高い葡萄が実ることを期待して止みません。
2016年収穫のピノ・ノワールとシャルドネ他のぶどうを一緒に絞った発酵前のジュース。(仕込タンクと収穫のタイミングの都合でやむなく今回は一緒に仕込みました)。ほのかにイチゴ系の香りが立ち込めます。リリースは、2017年春から初夏の予定。
自分が納得できるワインを、皆様にも共感していただけるワインを産みだすことができるよう、日々努力して参ります。
感謝の気持ちを常に忘れず、精進していく所存です。
引き続き宜しく御願いいたします。
Hikaru Farm
長谷光浩