カーボンオフセットって どんな意味があるのだろう?
2018年2月1日
途上国未電化家庭用太陽光システムファンド
このファンドが立ち上がってから,約2週間が経ち,今現在で186人の方のサポートを得ています.投資額で目標の約 1/4 に相当し,またうれしいことに,ひとりあたり 平均 2.5口 も出していただいています.本当にどうもありがとうございます!
このファンドの 特典 になっている「カーボンオフセット・サービス」ってどんなものだろう?と疑問にもたれている方がおられますので,今回は,ここで,その背景や考え方から,簡単に紹介したいと思います.社名(株式会社PEARカーボンオフセット・イニシアティブ)にも入っていますね.
「オフセット」とは「相殺(そうさい)」を意味します.
みなさんが,なにかの活動をされると,ほとんどの場合,直接もしくは間接的にCO2を排出します.電気などのエネルギーを使う場合,車に乗る場合 などはわかりやすいと思います.みなさんが購入したものも,エネルギーを使っていますので,CO2が出ているわけです(化石燃料は炭化水素ですので,燃やすとCO2が出ます).
気候変動問題あるいは地球温暖化問題とは,そのCO2をできるだけ出さなくて済む社会の構築なしには,解決しません.もうすこし具体的には,パリ協定のゴールである「産業革命以前から2℃の気温上昇に抑える」ためには,およそ2100年には,排出量を(吸収活動も合わせて)ほぼゼロにする必要があります.このファンドは「途上国に明かりを」という活動ですが,大切なのはそれが「再生可能エネルギーによって」という点です.すなわち CO2フリーなエネルギーの社会構築や経済開発の実践例であるわけですね.
世界のCO2排出量は まだまだ伸び続けています,長期にわたって減ったことはありません(オイルショック,世界大戦,世界恐慌などのときに,数年 減ったことはありますが...).
ファンドのページのいちばん下の方に書いているように,日本人は年間で,生活関連のCO2を 2トン強 平均で排出しています(カーボン・フットプリントと呼ぶこともあります).これを大幅に減らすことは非常に難しいです.これはいわば CO2のダイエットで,体重のダイエットと同じくらい難問です.
ただ,それを大幅に かつ簡単に,低コストで減らす方法があります.それが「カーボンオフセット」なのですね.
カーボンオフセットとは,他の人が CO2を減らしたら,それを「購入」することで,自分が削減したとみなすことです.
「え?それはズルじゃないの?」と思われるかもしれませんが,そんなことはありません.みなさんは,たとえば会社に行くのに電車を使われるでしょう.これは「お金を出して」移動というサービスを享受していることです.自分で肉牛を飼育せずに,牛肉を買ってきますよね.すなわち,自分で行うのはたいへんな場合,他人にそれをやってもらって,その行為に対価を支払うわけです.これがすなわち「経済活動」にほかありません.言い方を変えると「分業」であるわけです.
このような「経済」に乗せることで,われわれの活動は飛躍的に大きくなりうるわけです.もうひとつのたいへんなことである「CO2の大幅削減」だって,このような経済メカニズムを活用することができ,むしろそれによってはじめて,「コスト効果的」に「大幅な」削減が可能となります.
他人の排出削減分の移転の際にやりとりするものが,「排出権」と呼ばれるものです.
企業にCO2排出規制が課せられているヨーロッパでは,排出権取引制度が導入され,排出できる権利として「排出権」が市場で取引されています.
京都議定書の下では,途上国でCO2排出削減を行い,それを「排出削減クレジット(排出権)」とすることで,大きなビジネスが生まれ,途上国での排出削減活動も進みました(わたしはその第一号に寄与しました).
一方で,規制がないけれど,自主的にCO2を減らしたい,という場合にも,このように他の人が減らした証(排出削減クレジット)を購入することで,自分の排出量を相殺(オフセット)させることが可能です.これが「カーボンオフセット」であるわけです.
ただ通常の人は,それをどうやってできるのかよくわかりません.そのため,そのようなサービス(顧客のカーボンオフセットを代行するサービス)を行う カーボンオフセット・プロバイダーというビジネスが生まれるわけです(日本にも,プロバイダーのカーボンオフセット協会があります.PEARもその一員です).
われわれは,本ファンドの立ち上げにあたって,どのような特典が望ましいのだろうか?と考えました.広く関与してもらいたいということから,一口を1万円におさえました.またセキュリテは製品購入型クラウドファンディングではないため,投資額相当の特典をお付けすることはできません(金銭的リターンとしてお返しするわけです).一口10万円なら,SHSそのものを特典にすることもできたのですが,1万円なのでそれもできません.
そのような制約の中で,このファンドに投資する人は,どんな人だろう?という問題設定をし,きっと社会的な貢献をしたい,エネルギーや地球温暖化問題への関心が高く,自分でも省エネなどに気をつけている方が多いのでは?と思いました.
したがって,「カーボンオフセット・サービス」を 特典として ご提供することにしたわけです.
特典を受けた方にとって,直接 目に見える 便益はありません.ただ,地球環境に対して,CO2削減という「貢献」をしたという 一種の満足感が,ご提供できるものです.形としては,そのカーボンオフセットを行ったという証書(PDFですが)は,われわれが発行いたします.
もちろん,PEARはカーボンオフセット・プロバイダーですので,自己の所有する排出削減クレジットの在庫管理はきちんと行っており,それを用いて,たとえば一口投資いただいた方には,0.5トン分の排出削減クレジット(削減したという証)を割り当て,それを,償却いたします(もう使えないという処理です).その手続き終了後に,証書を発行いたします.
PEARは,この仕組みを,日本に普及することで,日本の方々が手軽にオフセットを行って(たとえば一日50円くらいを支払って)カーボンフリー(!)な生活を送っていただきたいと考えて設立いたしました.そして,その資金が,途上国でのプロジェクト(本ファンドの対象となっているようなプロジェクト)の資金源となることを企図していました.
残念ながら,日本人のメンタリティーは,そこまで成熟してこなかったので,個人向けカーボンオフセットは拡がっていってはいませんが,みなさんには,今回は「特典」として,その一端でも感じていただければさいわいです.
あまり更新していませんが,ブログにすこし考え方の説明もしていますので,よろしかったら,ご覧下さい.
松尾 直樹
このファンドの 特典 になっている「カーボンオフセット・サービス」ってどんなものだろう?と疑問にもたれている方がおられますので,今回は,ここで,その背景や考え方から,簡単に紹介したいと思います.社名(株式会社PEARカーボンオフセット・イニシアティブ)にも入っていますね.
「オフセット」とは「相殺(そうさい)」を意味します.
みなさんが,なにかの活動をされると,ほとんどの場合,直接もしくは間接的にCO2を排出します.電気などのエネルギーを使う場合,車に乗る場合 などはわかりやすいと思います.みなさんが購入したものも,エネルギーを使っていますので,CO2が出ているわけです(化石燃料は炭化水素ですので,燃やすとCO2が出ます).
気候変動問題あるいは地球温暖化問題とは,そのCO2をできるだけ出さなくて済む社会の構築なしには,解決しません.もうすこし具体的には,パリ協定のゴールである「産業革命以前から2℃の気温上昇に抑える」ためには,およそ2100年には,排出量を(吸収活動も合わせて)ほぼゼロにする必要があります.このファンドは「途上国に明かりを」という活動ですが,大切なのはそれが「再生可能エネルギーによって」という点です.すなわち CO2フリーなエネルギーの社会構築や経済開発の実践例であるわけですね.
世界のCO2排出量は まだまだ伸び続けています,長期にわたって減ったことはありません(オイルショック,世界大戦,世界恐慌などのときに,数年 減ったことはありますが...).
ファンドのページのいちばん下の方に書いているように,日本人は年間で,生活関連のCO2を 2トン強 平均で排出しています(カーボン・フットプリントと呼ぶこともあります).これを大幅に減らすことは非常に難しいです.これはいわば CO2のダイエットで,体重のダイエットと同じくらい難問です.
ただ,それを大幅に かつ簡単に,低コストで減らす方法があります.それが「カーボンオフセット」なのですね.
カーボンオフセットとは,他の人が CO2を減らしたら,それを「購入」することで,自分が削減したとみなすことです.

「え?それはズルじゃないの?」と思われるかもしれませんが,そんなことはありません.みなさんは,たとえば会社に行くのに電車を使われるでしょう.これは「お金を出して」移動というサービスを享受していることです.自分で肉牛を飼育せずに,牛肉を買ってきますよね.すなわち,自分で行うのはたいへんな場合,他人にそれをやってもらって,その行為に対価を支払うわけです.これがすなわち「経済活動」にほかありません.言い方を変えると「分業」であるわけです.
このような「経済」に乗せることで,われわれの活動は飛躍的に大きくなりうるわけです.もうひとつのたいへんなことである「CO2の大幅削減」だって,このような経済メカニズムを活用することができ,むしろそれによってはじめて,「コスト効果的」に「大幅な」削減が可能となります.
他人の排出削減分の移転の際にやりとりするものが,「排出権」と呼ばれるものです.
企業にCO2排出規制が課せられているヨーロッパでは,排出権取引制度が導入され,排出できる権利として「排出権」が市場で取引されています.
京都議定書の下では,途上国でCO2排出削減を行い,それを「排出削減クレジット(排出権)」とすることで,大きなビジネスが生まれ,途上国での排出削減活動も進みました(わたしはその第一号に寄与しました).
一方で,規制がないけれど,自主的にCO2を減らしたい,という場合にも,このように他の人が減らした証(排出削減クレジット)を購入することで,自分の排出量を相殺(オフセット)させることが可能です.これが「カーボンオフセット」であるわけです.

ただ通常の人は,それをどうやってできるのかよくわかりません.そのため,そのようなサービス(顧客のカーボンオフセットを代行するサービス)を行う カーボンオフセット・プロバイダーというビジネスが生まれるわけです(日本にも,プロバイダーのカーボンオフセット協会があります.PEARもその一員です).
われわれは,本ファンドの立ち上げにあたって,どのような特典が望ましいのだろうか?と考えました.広く関与してもらいたいということから,一口を1万円におさえました.またセキュリテは製品購入型クラウドファンディングではないため,投資額相当の特典をお付けすることはできません(金銭的リターンとしてお返しするわけです).一口10万円なら,SHSそのものを特典にすることもできたのですが,1万円なのでそれもできません.
そのような制約の中で,このファンドに投資する人は,どんな人だろう?という問題設定をし,きっと社会的な貢献をしたい,エネルギーや地球温暖化問題への関心が高く,自分でも省エネなどに気をつけている方が多いのでは?と思いました.
したがって,「カーボンオフセット・サービス」を 特典として ご提供することにしたわけです.
特典を受けた方にとって,直接 目に見える 便益はありません.ただ,地球環境に対して,CO2削減という「貢献」をしたという 一種の満足感が,ご提供できるものです.形としては,そのカーボンオフセットを行ったという証書(PDFですが)は,われわれが発行いたします.

もちろん,PEARはカーボンオフセット・プロバイダーですので,自己の所有する排出削減クレジットの在庫管理はきちんと行っており,それを用いて,たとえば一口投資いただいた方には,0.5トン分の排出削減クレジット(削減したという証)を割り当て,それを,償却いたします(もう使えないという処理です).その手続き終了後に,証書を発行いたします.
PEARは,この仕組みを,日本に普及することで,日本の方々が手軽にオフセットを行って(たとえば一日50円くらいを支払って)カーボンフリー(!)な生活を送っていただきたいと考えて設立いたしました.そして,その資金が,途上国でのプロジェクト(本ファンドの対象となっているようなプロジェクト)の資金源となることを企図していました.
残念ながら,日本人のメンタリティーは,そこまで成熟してこなかったので,個人向けカーボンオフセットは拡がっていってはいませんが,みなさんには,今回は「特典」として,その一端でも感じていただければさいわいです.
あまり更新していませんが,ブログにすこし考え方の説明もしていますので,よろしかったら,ご覧下さい.
松尾 直樹