マイクロファイナンスに取り組む理由 「ミャンマーとマイクロファイナンスと私」後編(リバイバル)
平素よりご支援くださり誠にありがとうございます。
本ファンドの代表の加藤さんがマイクロファイナンスに取り組むようになった理由についてご紹介するエントリー、前回の前編に続いて後編をお届け致します。
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ミャンマーからこんにちは。
MJIの加藤です。
きょうも、雨季の入り口で、雨が降ったり止んだりしているヤンゴンです。
停電も相まって、昼間でも町全体が暗く、なんだか昼も夢を見ているような気分になります。
???どうして日本人がミャンマーでマイクロファイナンス???
前回につづき、わたしとマイクロファイナンスとの出会いや続ける理由をお話しさせて頂きます。
このミャンマーの空のように、少しだけ暗いお話であること、予めご承知おきいただけますと幸いです。
~前回のあらすじ~
どこにでもいる、何も特別な経歴もない、日本人、女性、社会人。
幼い頃、親の事業と借金による経済的な理由から、「家族の離別」「進学の断念」2つを経験。
そうした経験から「お金に対する恐怖心と嫌悪感」をもったままわたしは大人になりました。
これらの困難も「自分が強ければ乗り越えられたのに」と自責の念というおまけもついて、大人になった後も、この”灰色”の想い出は消えることはありませんでした。
しかし、2013年ミャンマーに渡り、マイクロファイナンスと出会ったことで、大きく運命が動いていくことになります。
マイクロファイナンスを知ったのは、渡って間もなくでした。
「お金を通して人々の役に立つ」という仕事、マイクロファイナンス。
自身の経験からもこのキーワードに興味が尽きず、監督官庁の支局に行ってその可能性などについて伺っていました。
当時の支局長はわたしの母から祖母くらいの年齢の女性で、とてもやさしい目をした方でした。
わたしの想いなどを伝えると、「この人に会いなさい」と言い、そっと一冊のミャンマー語の本を差し出し渡してくれました。
その人は、後にわたしの一生の師になる方です。
長年ミャンマーのマイクロファイナンス業界を率いてきた方で、人生を賭けてミャンマーの金融包摂に取組んでいらっしゃいます。
今も現役で、業界の健全な発展のため、農村に住むマイクロファイナンス利用者のため、小規模事業家の女性のため尽力していらっしゃいます。
結果、この方に弟子入りするような形で、マイクロファイナンスを学び始めることになりました。
その中で出会う、マイクロファイナンス利用者とその家族。
経済的理由などから劣等感を持ったまま大人、親、母になった女性たち。
おなじような”灰色”を知るこどもたち。”灰色”も忘れた大人たち。
せめて子供の夢は叶えたいと、新しい仕事に取り組むお母さんお父さんたち。
今でも機会があれば学びたいと思ってるよ、と未来を見続ける大人たち。
住んでいる家や着ている物は違えど、話す言葉は違えど、現場で出会ったのは、あの頃のわたしでした。
出会ったのは、あの頃、経済的に苦しくなっても身を粉にしてわたしを守ってくれていた父母でした。
不安な過去。
灰色の想い出。
すべては自分が弱いせいだという劣等感。
アンデルセン童話「雪の女王」ご存知でしょうか。
ある日、悪魔のガラスが刺さり、冷たい氷の世界におちた子。
しかし、優しさや愛という光と涙によってそれが溶かされ、再び温かい世界をみる。
自分が経験したすべてが、
この仕事、この役割に出会うための神様からのプレゼントだったんだ。
わたしはやっと、自分の運命を克服することができる。
そう、はっきりと感じることができました。
ここに運んでくれた優しさの光が、荒野の先の未来までも照らしているようでした。
お金は、人を殺すことも生かすことも出来るとても強い力をもっている、と今も思っています。
その負の側面を知っているからこそ、その優しい面をマイクロファイナンスを通じて届けたい。
マイクロファイナンスを通じて、同じような思いをする家族・子供をなくしたい。
それが、わたしとMJIの原点です。
それが、わたしとMJIがマイクロファイナンスを続ける理由です。
もちろん現地、現場は美しいことばかりではありません。
綺麗ごとでは片付かないことの連続です。
また、経済的な困難によりフィジカルに起きる問題だけが、経済的な問題だけではありません。
マイクロファイナンスが貧困への万能薬だとも過信していません。あくまで1つのツールです。
それでも。
ミッションに共感してくれるスタッフと共に、
お金の持つ優しい面を、未だ届いていない場所に、正しく届けること。
それは、わたしたちにできる小さくても重いミッションであり、原点であり、未来なのです。
ちょっと暗くて長い ミャンマーとマイクロファイナンスとわたし の後編でした。
こうして公に自身の過去をお話しする日がくるとは思ってもみませんでした。
こんな機会がいただけていることが、有難くてなりません。
次に運命を超えていくひとが、MJIのスタッフや、お客さまや、関わって下さるだれかであれば嬉しいです。
そのサポートができるよう、引続きわたしたちの役割と責任を全うしていきたいと、改めて思っております。
最後までお付き合い下さり、ありがとうございました。
次回は、明るい?楽しい?ミャンマーのおはなしもお届けしたいと思います。
そのまえにまだ前半編よんでないぞという方、ぜひお立ち寄りくださいませ。
~ミャンマーとマイクロファイナンスとわたし(前編)~
みなさまの明日が、素敵な日でありますように。
いつも応援とご支援いただき誠にありがとうございます。
引続き宜しくお願い申し上げます。
MJI ENTERPRISE Co., Ltd.
加藤侑子&スタッフ一同