フィールド調査日記5
ミャンマーからおはようございます。
MJIの加藤です。
今日も引続き、ミャンマーのフィールド調査日記を通じ、
生の現場、農村に住むひとたちの生の声をお届けしてまいります。
平日にも関わらず、たくさんの方にこのファンドニュースに訪問頂き、感謝でいっぱいです。
募集期間は残りわずかとなりましたが、できる限り現地の様子をみなさまにお伝えしていきたいと思っています。
それでは、みなさま一緒にミャンマーへむけて出発しましょう。
4日目
8:30
さあ、今日も元気に出発です。と、思いきや。
お約束の時間になっても我々の車が参りません。
運転手さんの姿も見えません。
電話をしても「ただいま電波の届かないところに~(緬語版)」。
もう一台の運転手さんに聞いても「昨日の夜以降会ってない」。
昨日までの3日間、かなりハードな移動をこなしてきました。それは運転手さんも一緒。
嫌な予感。
スタッフたちはやれやれという顔をして、宿の入り口に座り込みます。
ミャンマーで出会う人の多くは、仏教の精神からか、DNAに刻み込まれたその精神からか、
憤怒の念を心にもったり、心に生まれた怒りを面に出したり、また怒りを顕にする人を嫌うと、経験から感じます。
メディテーションを日常的に行うひとも多く、高い精神性を求めるミャンマーの人と国。
仕事や生活の不便さに、イライライライライライライライライライラ(多)してしまう自分が恥ずかしくなります。
みんなと一緒にわたしも腰を下ろします。
20分ほど経ち、運転手さんボワっと登場。朝ご飯を食べていたとのこと。
スタッフは「8:30って言っていなかった?」「そうか、今日は別れ際にお互い確認し合おう」とやはり怒る様子はない。
運転手さんとスタッフのみんなから学ぶ仏教感。
11:30
ひとつ目の調査エリアに到着できたのはもうお昼前。
運転手さん事件もあったのですが、エリアが遠い上、さらにもう一つ、行く手を阻む刺客が登場。
▲行く手を阻む刺客、ミャンマーでは山羊をマトンと呼ぶ、緬料理屋でマトンと言われても羊ではない
子供の頃にアルプスの少女ハイジに憧れていたわたしは、山羊のユキちゃん登場に大喜び。
ヤンゴンでは見かけない光景にスタッフも大興奮。
が、喜んだのも最初の数回だけ。
たびたび現れる山羊の群れと、山羊飼いのペーター。塞がれる道と山羊のペースに合わせた鈍行。
運転手さんイライラ、スタッフもわたしも山羊見過ぎておなか一杯。
「苦しみの新しい間をたのしみ、新しみの古くなったものを苦しみという」という仏教の教えがあったことを思い出す。
山羊さんから学ぶ仏教感。
▲大量のユキちゃん
調査エリア到着後、すぐに役所に向かい窓口に行くも、
「長は既にランチタイム、14時にもう一度来てください。会えるかどうか約束はできません。」
せめて担当官から話を聞けないかどうか尋ねてみても、「だめ。長の許可なく通せない。」
むー。どうしようか、調査依頼の資料だけ提出してあとは独自に調査するか?いやいや何かあったら困るでしょ?云々かんぬん。
すると、後ろから声が。「どうしたの?」。齢50前後の長身の男性が声を掛けてくれた。
実は…、と事情を説明するスタッフ。通りに置かれたプラスチックの椅子に腰かけ、「うむうむ」と資料にも目を通してくれるその人。
「私から担当官に話すので直接聞いてみるといい。直接助言できず申し訳ないけれど。なにせ一昨日着任したばかりの新人なんでね。」
御礼を伝え、名刺を渡した。
「日本から来たんだね、北海道と東京は遠いの?行ってみたい国のひとつだよ。」
ミャンマーでは北海道が有名、雪が見たいという人が多い。東京の発音のTOKYO→KYOはチョーと発音され、京都もチョート。
紹介された担当官から必要な情報を受取っているところ、スタッフが担当官と何やらひそひそ話。
「やっぱり!そうだと思った。ニュースで見ましたよ。大変でしたね。」
あとで聞いたところ、前職の長が贈賄の疑いで更迭されたとのこと。さっき話しかけて下さった方が着任したばかりの新しい長だという。
直近の世界ビジネス環境ランキング、ミャンマーは171位。
民主化以降、目に見えて賄賂は減っている。
役所窓口でアンダーテーブルを求められることはほとんどなくなった。賄賂を渡さないからと言って手続きを後ろに回されることもなくなった。
古き良きは次の世代に繋ぎ、残すべきは残す。新しく良いものは古きに固執せず取り入れる。
未来に向かって、この国を良くしようという風を、この村でも感じることが出来た。
温かい長のサポートによりこのエリアでも順調に調査が進む。
その中で会った、ある村の女性村長。
3つの事業を手掛けながら息子1人娘1人を大学卒業まで育て、つい数か月前夫に先立たれた、と話す。
ミャンマーの平均寿命は長くない。
共に過ごせる時間が短いからこそ、家族感を想い、一緒に過ごす時間を大切にするその想いに胸が熱くなる。
その庭に育っていたミャンマー伝統化粧・伝統医療に欠かせないタナカーの木。樹齢20年。ご夫婦が共に過ごされた時間にその木の姿が重なる。
▲タナカーの木。ヤンゴンでも見かけない生の木にスタッフも興味津々
▲お洒落に結われた女性村長の髪「夫はいつでも見てるから綺麗にしておかないと」
16:00
全部で3エリアの調査を終え、今日最後の村。
久しぶりに見た「まだマイクロファイナンスがない場所」だった。
大通りに店を構えるお母さんに、調査の依頼をした。照れながらも、生活や事業の話、村の話を聞かせてくれた。
お話しをしていると。あれよあれよという間に老若男女、人が集まりだした。
「マイクロファイナンスがきてるって!」お母さんインタビュー中に店の娘さんが村の人に話して回ったそう。
お陰様でたくさんの人からたくさんのお話が聞けたのですが、
「いつから営業を始めるの?」「事務所はどこ?」「返済はどうしたらいいの?」、わたしたちも、嬉しい質問責めにあう。
まだ、支店はないんですよ。今、支店を作るかどうか検討中ですよ。支店を作ったらその後やっとローンを提供できるんです。
そこまで聞いて「なーんだ!もうすぐ借りられるかと思った!」「他のところにはあるのにうちの村にはまだないのよ!」
そこに確かに存在する需要と、確かにそれを求める人たちの声を聞き、使命感を新たにした4日目でした。
最後までお付き合いをいただきありがとうございます。
フィールド調査日記の農村編は今回が最後です
スタッフと共に本ニュースを通じて5日間のハードな旅をご一緒いただき、ありがとうございます。
次回は締めに、少し目線を変えた番外編の第二弾をお送りしたいと思います。
本ファンドの募集締め切りは6月の末です。
ひとりでも多くの方に、この活動に参加していただき、共に育てて頂きたいと思っております。
是非、ファンド概要もお読みいただけると幸いです。
いつも応援とご支援をいただきありがとうございます。
引続きどうぞ宜しくお願い致します。
MJI Enterprise Co., Ltd.
加藤侑子&スタッフ一同