ソーラーホームシステムのグラミンシャクティの成果と課題
2018年5月2日
途上国未電化家庭用太陽光システムファンド
サポーターの方が,378人,そしてついに目標出資額の 50% に到達いたしました.ありがとうございます!
セキュリテに登録されてから いままで ほぼ3ヶ月半でした.とはいえ,まだ道は半ばです.これからもよろしくお願いします!
さて,このブログを読まれている方は,途上国の貧困問題や開発問題に関心が高い方が多いと思います.この分野の方々にとって「グラミン」という言葉は,「ユヌス氏」とともに,一種のカリスマ的存在と言えるかもしれません.
バングラデシュで,ムハマド・ユヌス氏と,彼の設立したグラミン銀行は,貧しい人々に無担保で少額融資を行い,彼らが自立できるきっかけとなるマイクロクレジットを始め,大規模で展開することに成功しました.その成果を讃え,2006年には両者にノーベル平和賞が贈られました.ちなみに,グラミンとはベンガル語で農村という意味です.
ユヌス氏は,金融業をやりたかったわけではなく,バングラデシュの人々,とくに貧しい人々の開発と自立を目指していたため,金融以外のさまざまな側面での活動を行っています.これらはグラミン・ファミリーと呼ばれ,営利・非営為で小さなものまで含めると50以上の団体から成ります.その中で,グラミン銀行に次いで大きな組織が,グラミンシャクティと呼ばれる組織です,シャクティとは,エネルギーという意味です.下のムービーをご覧下さい.
われわれは,このグラミンシャクティと,2010年以降,いろいろな形で協同してきました.最大のものは,IDCOLという政府系非バンク金融機関がスーパーバイズしている家庭用バイオガスプログラムプログラムを,グラミンシャクティ および IDCOLと,プログラムCDM化したことでしょうか.グラミンシャクティーは,このプログラムの最大実施者で,あとでIDCOL が割り込んできたというのが実態です.CDMというのは,京都議定書の下で 排出権を生み出す市場メカニズムです.通常はひとつのプロジェクトからの温室効果ガス(GHG)削減量を排出権化するのですが,プログラムCDMでは,家庭用バイオガスのようなひとつひとつは小さな活動をたくさん集めたプログラム自体を,ひとつのCDMプロジェクトとして扱うものです.少し難易度が高くなりますが,わたしの得意技ですね(笑)
JICAのBOPビジネスの最初のラウンドに採択され,マイクロユーティリティーという農家がバイオガスをチューブで隣近所に供給するユニークなビジネスモデルの可能性を探ったのですが,鳥インフルエンザリスクなどでうまくビジネス化はできませんでした.よろしかったら,ここ から報告書をダウンロードして,ご覧下さい.
ちなみに,このプロジェクトのCDM関連文書は,ここ にあります.
グラミンシャクティに代表される バングラデシュの未電化家庭対象のSHS普及プログラムは,現在までに約400万世帯に普及し,世界でほぼ唯一成功している政府系SHSプログラムです.
これに関しても,なぜ成功したか?という点を,JICA調査報告書 で,分析しましたので,ご興味のある方は,ご覧下さい.
バングラデシュのこの政府プログラムも,前述のIDCOLがスーパーバイズしていて,そのプログラムの下で 50程度のディストリビューター(パートナー機関と呼ばれています)が,全国津々浦々までオフィスを展開し,ユーザーである未電化家庭に対し,SHS販売と,分割払いのできる金融サービスを行っています.毎月の資金回収と機器チェックを融合した非常に優れたマネージメントシステムやデータベースを有しており,またビジネスモデルを構築していて,それがバングラデシュモデルが成功してきた大きな理由となっています.
実は,このIDCOLのシステムは,もともとグラミンシャクティがそのベースを構築し,運用していたものを,IDCOLが応用したものでした.グラミンシャクティは,IDCOLプログラムで導入されたSHSの 1/2 近くを担い,圧倒的な存在感を持ってきました.
という成功事例としての側面は,ときどき見かけるのですが,実は,最近,グラミンシャクティは,そのビジネスにあえいでいます.その主流であったSHSプログラムに関する いままでのビジネスモデルが成り立たなくなってきたわけです.
たとえば,グラミンシャクティは,村の女性を教育して,SHSのコントローラー製造やメインテナンスを行ってきました(下の写真).ですが.このモデルは中国の安価なコントローラー輸出によって破綻し いまは細々と修理だけです.
なによりも大きいのは,テロにも関係したのですが,バングラデシュを襲った経済不況の影響がありました.
加えて,当初から対象としてきた比較的お金を持った層が一巡し,SHS購入が難しい層が残されたことです.
その他,さまざまな理由が悪い方にはたらき,現在では,グラミンシャクティは,事業縮小と共に,SHSは買い換え需要のような新しいタイプを模索していますし,IDCOL自体はプログラムの出口戦略を考えてきています.
このような状況において,われわれは,バングラデシュにおいてはどのようなビジネス展開を想定しているか?という点が課題になってきます.
もちろん,縮小したとはいえ,グラミンシャクティは大きなパワーを持っていますし,ぜひ彼らの事業が成功していけるように わたしも強く思っています.
いくつか腹案はあるのですが,それがうまく機能するかどうか,もうすこしトライアンドエラーが必要となってくるでしょう.
セキュリテに登録されてから いままで ほぼ3ヶ月半でした.とはいえ,まだ道は半ばです.これからもよろしくお願いします!
さて,このブログを読まれている方は,途上国の貧困問題や開発問題に関心が高い方が多いと思います.この分野の方々にとって「グラミン」という言葉は,「ユヌス氏」とともに,一種のカリスマ的存在と言えるかもしれません.
バングラデシュで,ムハマド・ユヌス氏と,彼の設立したグラミン銀行は,貧しい人々に無担保で少額融資を行い,彼らが自立できるきっかけとなるマイクロクレジットを始め,大規模で展開することに成功しました.その成果を讃え,2006年には両者にノーベル平和賞が贈られました.ちなみに,グラミンとはベンガル語で農村という意味です.
ユヌス氏は,金融業をやりたかったわけではなく,バングラデシュの人々,とくに貧しい人々の開発と自立を目指していたため,金融以外のさまざまな側面での活動を行っています.これらはグラミン・ファミリーと呼ばれ,営利・非営為で小さなものまで含めると50以上の団体から成ります.その中で,グラミン銀行に次いで大きな組織が,グラミンシャクティと呼ばれる組織です,シャクティとは,エネルギーという意味です.下のムービーをご覧下さい.
われわれは,このグラミンシャクティと,2010年以降,いろいろな形で協同してきました.最大のものは,IDCOLという政府系非バンク金融機関がスーパーバイズしている家庭用バイオガスプログラムプログラムを,グラミンシャクティ および IDCOLと,プログラムCDM化したことでしょうか.グラミンシャクティーは,このプログラムの最大実施者で,あとでIDCOL が割り込んできたというのが実態です.CDMというのは,京都議定書の下で 排出権を生み出す市場メカニズムです.通常はひとつのプロジェクトからの温室効果ガス(GHG)削減量を排出権化するのですが,プログラムCDMでは,家庭用バイオガスのようなひとつひとつは小さな活動をたくさん集めたプログラム自体を,ひとつのCDMプロジェクトとして扱うものです.少し難易度が高くなりますが,わたしの得意技ですね(笑)
JICAのBOPビジネスの最初のラウンドに採択され,マイクロユーティリティーという農家がバイオガスをチューブで隣近所に供給するユニークなビジネスモデルの可能性を探ったのですが,鳥インフルエンザリスクなどでうまくビジネス化はできませんでした.よろしかったら,ここ から報告書をダウンロードして,ご覧下さい.
ちなみに,このプロジェクトのCDM関連文書は,ここ にあります.
グラミンシャクティに代表される バングラデシュの未電化家庭対象のSHS普及プログラムは,現在までに約400万世帯に普及し,世界でほぼ唯一成功している政府系SHSプログラムです.
これに関しても,なぜ成功したか?という点を,JICA調査報告書 で,分析しましたので,ご興味のある方は,ご覧下さい.
バングラデシュのこの政府プログラムも,前述のIDCOLがスーパーバイズしていて,そのプログラムの下で 50程度のディストリビューター(パートナー機関と呼ばれています)が,全国津々浦々までオフィスを展開し,ユーザーである未電化家庭に対し,SHS販売と,分割払いのできる金融サービスを行っています.毎月の資金回収と機器チェックを融合した非常に優れたマネージメントシステムやデータベースを有しており,またビジネスモデルを構築していて,それがバングラデシュモデルが成功してきた大きな理由となっています.

実は,このIDCOLのシステムは,もともとグラミンシャクティがそのベースを構築し,運用していたものを,IDCOLが応用したものでした.グラミンシャクティは,IDCOLプログラムで導入されたSHSの 1/2 近くを担い,圧倒的な存在感を持ってきました.
という成功事例としての側面は,ときどき見かけるのですが,実は,最近,グラミンシャクティは,そのビジネスにあえいでいます.その主流であったSHSプログラムに関する いままでのビジネスモデルが成り立たなくなってきたわけです.
たとえば,グラミンシャクティは,村の女性を教育して,SHSのコントローラー製造やメインテナンスを行ってきました(下の写真).ですが.このモデルは中国の安価なコントローラー輸出によって破綻し いまは細々と修理だけです.

なによりも大きいのは,テロにも関係したのですが,バングラデシュを襲った経済不況の影響がありました.
加えて,当初から対象としてきた比較的お金を持った層が一巡し,SHS購入が難しい層が残されたことです.
その他,さまざまな理由が悪い方にはたらき,現在では,グラミンシャクティは,事業縮小と共に,SHSは買い換え需要のような新しいタイプを模索していますし,IDCOL自体はプログラムの出口戦略を考えてきています.
このような状況において,われわれは,バングラデシュにおいてはどのようなビジネス展開を想定しているか?という点が課題になってきます.
もちろん,縮小したとはいえ,グラミンシャクティは大きなパワーを持っていますし,ぜひ彼らの事業が成功していけるように わたしも強く思っています.
いくつか腹案はあるのですが,それがうまく機能するかどうか,もうすこしトライアンドエラーが必要となってくるでしょう.