影山の木曜カフェタイム 2026年5月31日 09:00

vol.6【インパクト投資を考える②】| 2022.6.30 配信「木曜カフェタイム」



こんにちは。影山知明です。
木曜カフェタイム、6回目の投稿となります。

暑い日が続きますが、それぞれにひと息つける瞬間がありますように。
前回の続きです。
※前回『vol.5【インパクト投資を考える①】』

「インパクト投資を考える①」では、事業の「価値」をはかるものさしは「お金」や「利回り」だけではないこと、また、それぞれの事業がつくり出す価値はそれぞれにユニークなものが多く、一般化・数値化が難しいことに触れました。
Aという事業が生み出す価値をA1、A2、A3、Bという事業が生み出す価値をB1、B2、B3としたとき、投資に対しての評価を行うには、「A1とB1とではどちらが大きいのか」とか、「A1~3とB1~3をすべて足し合わせるといくらになるのか」などを本当は知りたくなります。
そうでないと、その投資が成功だったかどうかの判断がつかないからです。
でも実際には、そもそも数値化が難しかったり、数値化できたとしても単位が違ったりすると、そういう比較や足し算・引き算は困難なことが多いのです。
結果、断片的で、多くの場合定性的な投資評価の説明が続くことになってしまいます。
投資の仕組みがシンプルで、登場人物も限られるような場合は、それでも大丈夫ということはあるでしょう。
ですが、多くの投資ファンドでは、投資家は投資家でそのステークホルダーへの説明責任を負っていることが多く、複雑で冗長な説明は受け入れてもらえません。
できるだけシンプルで、そしてできるなら比較可能なものさしで評価・説明したい。

じゃあ、どうしたらいいのか。
インパクト投資は、その困難にずっと向き合ってきたと言えます。
結果、取られた作戦が3つありました。
1つ目は、徹底した数値化。
中でも金銭価値への換算化。
ただこれも、そうするためにはさまざまな仮定を置かなければいけないことが多く、目安のようなものにはなったとしても、完全に納得感ある体系化には常に壁があります。
2つ目は、CO2排出量(や環境負荷)への集約化。
事業が生み出す価値の中でも、「環境負荷がいかに小さいか」はグローバルに大きな論点であり、投資家からの期待もあるところです。
実際、CO2排出量であれば(それでも幾多の仮定を置かなければいけないものの)数値化が比較的しやすく、また排出権取引という市場化が部分的にせよなされているため金額換算もできるということで、現実的にこの観点が、今のインパクト投資の柱になっていると言っていいだろうと思います。
3つ目は、積極的な価値評価には重きを置かず、環境破壊や人権侵害、差別、法令違反などの「マイナス価値」を生み出していないことを、チェックボックス的に確認しようとする姿勢。
これはこれで、「ない」ことを報告できればいいわけですから、コミュニケーションがシンプルになるわけです。

これらそれぞれのアプローチに、それぞれなりの意義があります。
特に何百億円や、何千億円、あるいはそれ以上のお金が動く投資の場面で、多少、現実のひだひだを省略し物事を単純化したとしても、それが「いい使われ方」をすることの意味やインパクトは大きいわけで、こうした方面のいっそうの体系化はこれからも求められ、進んでいくことになるでしょう。

ただ、です。
ここまでに触れてきたようなインパクト投資の潮流は、ちょっと「主語が大きい」ように自分は感じてしまうのです。
そして、「マイナス価値」がないことでよしとするのではなく、断片的で定性的であったとしても、あるいは最初は小さな規模だったとしても、何か具体的な価値がつくり出されることは、それはそれとしてやはり評価されるべきことで、自分はそちらに肩入れしたい思いがやはり捨てきれません。
なぜなら世界は、そうした小さく具体的な価値創出の積み重ねで「よりよく」なっていくものだろうと思うからです。
そしてそこにこそ、セキュリテの出番があると思っています。

(つづく)

〜2022.6.30 配信「木曜カフェタイム」〜 
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※ この記事は、2022年当時にメルマガで配信されたエッセイのアーカイブ公開です。文章内の出来事や、影山知明氏の役職(当時:副社長COO)をはじめとする各種情報は、すべて当時の状態のまま掲載しております。あらかじめご了承ください。

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